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新しい賞を開設とのことで、恐れ多いことに審査員を務めさせていただくことになりました。長年描いていても投稿者さんや新人さんの作品には心を正されたり圧倒されることが多くあります。
漫画を描くのが好きだという気持ちが伝わってくるからです。漫画家になるための第一歩はそれが全てだと思います。
この賞はジャンルにとらわれず、みなさんの萌えや好きな世界観を隔たりなく見せていただきたいというコンセプトだと感じていますので、是非みなさんの 「好き」を教えてください。
読ませていただくのがとても楽しみです。

「どうして漫画を描こうと思うのですか？」と聞かれていつも上手く答えられないのですが、最近読んだ本に一つの答えが書いてありました。
それは宇多田ヒカルさんの「Automatic」の歌詞のような感情なのです。理由もメリットも何もなくても「描きたい」という衝動が抑えられない、止まらないのです。
ネームが完成した瞬間の霧が一瞬で晴れるような快感は何十年経っても毎回感動します。そんな恋に堕ちるように描いてしまったあなたの“It’s automatic”な熱い作品を待っています！

———「Palcy」とはどんな媒体でしょうか？

2018年からスタートした、講談社とpixivが協力して開発したマンガアプリです。読者は少女・女性が中心ですが、アプリなので取り扱うジャンルの幅もターゲット層も広く、年齢や性別に関係なく楽しんでもらえる作品が詰まっています。
王道の恋愛ものはもちろん、人気の異世界ジャンルや、少しマニアックなジャンルまで、多様な作品が充実しています！

———担当の『恋ヶ窪くんにはじめてを奪われました』は、アプリ内にとどまらず、とても大きく展開されていますね。

『恋ヶ窪くんにはじめてを奪われました』は、大人の女性が疲れた時、寝る前に飲む甘いホットミルクのような作品を作りましょう、と作家さんと話し合って、スタートした作品です。リリース早々からPalcyのランキングでも上位に入り、紙のコミックスも発売することになりました。コミックスも発売後、即重版となりたくさんの読者の方に読んでいただいています。
Palcyは、ほかのマンガアプリと比較しても、掲載と並行して紙の漫画を出す割合が高いのではないかなと思います。また、昨年ドラマが放送された『束の間の一花』など、映像化のお声がけをいただく機会も多いので、多方面に作品を展開できるのはPalcyの強みだと思います。

———投稿作を読む時、どんなポイントに注目していますか？

私の場合は、キャラクター、絵、話運びなど、漫画家さんの“強み”と“好き”がどこにあるのかを、探りながら読ませていただくようにしています。
たとえば、「男子キャラのビジュアルがとってもイケメン！優勝！！」と思う作品があったとして、でもよく読むと、そのイケメンのちょっと冴えないところが、愛らしく丁寧に表現されていたとします。それは、おそらく作家さんの萌えポイント＝“好き”の部分だと思うので、その場合は、“強み”のイケメンなビジュアルと、“好き”の冴えないけど愛おしい男の子のキャラクター性を活かす設定で、次作を作ることを提案したりします。
数多ある作品のなかで一人でも多くの読者の手にとってもらうためには、その作家さんの魅力＝“強み”や“好き”が120%出ていることが大事だと思うので、そのお手伝いができればと思っています。

———今回はコミカライズするための原作を投稿していただく部門もあります。長野さんは、原作を探すこともあるそうですが、その場合のポイントはどんなところにありますか？

重要視するのは、キャラクターの強さ・魅力と、絵にした時にインパクトのあるシーンがあるかどうかということです。
文章の良し悪しももちろん大事ですが、それ以上に「マンガ」になるということを考えると、前述の２点がポイントになると思います。

———どんな作品を描いて投稿すればいいか、漫画家さんが迷ったときはどうしたらいいでしょうか？

なんだか就職活動みたいですが（笑）、“自己分析”と“業界分析”じゃないかなと思います。
まずは自己分析して自身が好きなものを知ること。それから、業界分析というのは出版業界や雑誌、編集者の分析ということではなく、マンガを好きな人たち、つまり今の読者が何を好きなのかを知るということです。
私たちも、投稿作を読ませていただく時は読者の目線で拝見しています。“編集者に見せる”ということは一切気にせずに、自分の好きという気持ちと、読者のことだけ考えて作品を作ってもらえたら十分です！

———投稿者のみなさんへのメッセージ

自分で作った制作物を人に見せることが恥ずかしい…と思っている方もいるかもしれません。でも、その恥ずかしい部分にこそ、その方らしさが出るのではないかなと思います。
私たちは、どんな“好き”も拒否することは絶対にありませんし、作家さんの萌えを最大化することこそが仕事だと思っています。ぜひ自分の“好き”を詰め込んだ作品を見せていただけたらうれしいです！

———「別冊フレンド（以下、別フレ）」とはどんな媒体でしょうか？

思春期らしい青春を描き続けてきた媒体だと思います。要素としてときめきは絶対に必要ですが、その年齢の子たちならではの悩みや葛藤、痛みにも向き合ってきました。
少女マンガとひと言でいっても作品の幅は広いですが、「別フレ」らしさとは何か、キーワードを挙げるなら“初めて”と“圧倒的なヒーロー像”。
恋のときめきや悩み、痛み、どれも“初めて”のときはやっぱり格別だと思うんです。まだ恋を知らないという読者もいらっしゃると思うのですが、「“初めて”はこんなに素敵なんだ」と、思っていただけるような作品が「別フレ」には揃っています。
それから“圧倒的なヒーロー像”というのは、「別フレ」に出てくる男の子たちはそれぞれの作品のなかで圧倒的No. 1であるということです。これは見た目だけの話ではなくて、性格の場合もあります。例えば、ヒロインへのまっすぐな想いは誰にも負けないなど、読者にとってうれしいことであればどんなことでもかまいません。「こういう子と恋をしてみたい！」と、読んでくださった方が憧れや夢を思い描けるようなヒーロー像を大切にしています。

———投稿作を読む時、どんなポイントに注目していますか？

読者の心を動かすものが1つでもあるかどうか、ということを見るようにしています。絵がすごく上手、キャラクターが魅力的、印象に残るセリフや演出がある、こういったポイントが1つでもあれば十分です。
もちろん物語としての完成度が大事ではないとは言いませんが、そればかりを気にすると大事なことを見落としてしまうので、特に新人漫画家さんの原稿を拝見するときは、頭を空っぽにして何か心に響くものがあるか読ませていただくようにしています。

———「別フレ」は、数多くの王道のラブストーリーを生み出してきましたが、少女マンガに欠かせない要素とはなんだと思いますか？

これは編集長もよく言っていることなのですが、“笑い”、“泣き”、“きゅん”の3つだと思います。僕も編集者として作家さんの持ち味を生かしながら、この3つをいかに最大化できるかを意識しながら作品作りをしています。
ただ、最初から3つすべてを盛り込むのは大変なこと。新人漫画家さんであれば、まずはこのうちの1つでも描けていれば大丈夫です。

———新人漫画家さんが作品を作るときに、大事にすべきことはどんなことでしょうか？

僕は、素直さとこだわりではないかなと思います。一見、相反することだと思うかもしれないのですが、必要だと思ったアドバイスは積極的に受け入れて、逆に譲れないポイントは、編集者が何を言おうと我を通す。
僕自身が、わりと反論されたいタイプというのもありますが（笑）、作品をよりおもしろくするためであれば、我儘にも柔軟にもなれる作家さんは、成長もすごく早いなと感じます。

———投稿者のみなさんへのメッセージ

今回の新人賞は、講談社の少女・女性マンガ6誌の編集者が揃います。なかには「大きな企画のようだから、ハードルが高いな…」と感じている方がいらっしゃるかもしれませんが、むしろ逆です。カラーの違う編集部の、さまざまな編集者が読ませていただきますので、「どこか自分と相性のいい編集部はないかな」と、気軽な気持ちで応募していただけたらと思います！

———「デザート」とはどんな媒体でしょうか？

この10年変わっていないことは、一度恋をして、恋の楽しさや嬉しさはもちろん苦しさや切なさ、ままならないことも知っている読者に向けた雑誌である、ということです。私自身も編集者として「この子の気持ちわかる！」「イケメンを見て癒やされた…♡」など、何かしらの形で女の子を喜ばせる雑誌でありたいと思っています。
また、多くの掲載作品に共通して言えることは、恋する２人のどちらかが一方的に与えるでも、与えられるでもなく、お互いがお互いに影響し合って、最強で唯一無二の２人になっていく過程を描いている、ということ。今回の新人賞への応募を考えてくださっている方のなかには、マンガは描きたいけど、恋愛をテーマにすることに苦手意識を持っている方もいるかもしれません。でも、お仕事モノの同僚との関係や、部活仲間との友情となんら変わらない、“人と人”の大切な絆の話を描いていると考えてもらえたらうれしいです！

———投稿作を読む時、どんなポイントに注目していますか？

魅力的なキャラクターや、印象的な絵、忘れられないセリフなど、読み終わった時に少しでも記憶に残る何かがあるかどうか、ということです。
少し抽象的な表現になってしまいますが、これまで多くの作品を拝見してきて、漫画家さんの気持ちがのっているページは、不思議と読み手にも伝わるものだと感じています。
もしも、どう描けばいいか迷っている人がいたら、読者に見せたいシーンや伝えたい表現を意識するだけでも違うと思います。

———担当してデビューした漫画家さんとの、印象的なエピソードを教えてください。

「デザート」３月号から連載がスタートした蟹沢ちひろさんは、初めて作品を見せていただいた時から印象的でした。
原稿はサインペンで描かれていて、版面（原稿のうち、印刷される範囲のこと）もわかっていなかったのですが、主人公の女の子と男の子がバイクに乗ってぎゅっとしているシーンに、ひと目できゅんとさせられて。すぐに彼女の担当を申し出ました。 まずは原稿の描き方から始めたのですが、その後も一週間に一度、必ず何かしらを見せにきてくれるんです。作品作りに対する熱意も感じましたし、当然ながら作品自体もどんどんよくなっていって。そこから３作くらいでデビューが決定。デビューから連載を持つまでは、もう1つハードルがあることは確かなのですが、最初の段階から、とにかく女の子の感情を描くのが上手な作家さんだったので、そこを一番の強みにした作品作りを続けた結果、今回の連載も決まりました。
大事なのはどんなツールで描いたかではなくて、漫画家さん自身の伝えたいという想い。今回の新人賞も道具のことは気にせず、描きたいものを描きたいように表現して投稿していただけたらと思います！

———投稿者のみなさんへのメッセージ

「かわいい女の子を描いている時が楽しい！」「セリフやモノローグを考えている時間がワクワクする」など、“好き”という気持ちをマンガに存分に詰め込んでもらうこと。そして、“読者に届けたい想い”が込められていること。今回の新人賞に応募していただく作品には、この２つがあれば大丈夫です！
漫画家さん本人すら気づいていない魅力に気づいて、魅力を最大限に引き出すのが私たちの役割です。みなさんには、むしろ「編集者を上手に使うぞ！」という気持ちで応募していただけたらと思います！

———「なかよし」とはどんな媒体でしょうか？

多くの少女たちにとって、最初にマンガに触れる機会となり、大人になっても心のなかに生き続けている雑誌ではないかなと思います。
創刊69年を迎える歴史のなかでさまざまな作家さん、そして作品が生まれてきました。『美少女戦士セーラームーン』『怪盗セイント・テール』『東京ミュウミュウ』をはじめ、雑誌を母体としながら、アニメなどをきっかけに世界中から愛されるキャラクターたちが次々に誕生し、グローバルな展開をしている作品もとても多い。世界に最も近い雑誌の1つだと思います。

———「なかよし」らしい作品とは、どんな作品でしょうか？

明るく、愛と夢にあふれていて、強力なキャラクターがいること。そして、一流の胸きゅんが詰まっていることだと思います。一流の胸きゅんというのは恋愛だけを指すのではなく、読者がワクワクして、夢を見られるものであればジャンルはなんでもかまいません。
また、2019年に創刊65周年記念の原画展を開催したのですが、ものすごい反響で。私が入社した頃に携わっていた作品が、20年以上たっても忘れられることなく愛されていることを目の当たりにしました。「なかよし」らしい作品とは、どれだけ時が経とうと、読者の心のなかに生き続けていく作品とも言えると思います。

———投稿作を読む時、どんなポイントに注目していますか？

個性と独自性。また、画面に華やかさや雰囲気があるかどうか。加えて、原稿から伝わってくるご本人の熱意を見ています。
私自身は、新人賞に投稿する作品であれば、絵のクオリティはあまり気にしなくていいと思っています。絵は描けば描くほど変わっていくし、上手になるんですよね。技術よりもオリジナリティや熱意のほうがはるかに大切で、「自分にしかないもの」が原稿に表現されていれば、編集者はそれだけですごく興味を持つと思います。

———「なかよし」は、他誌と比べて低年齢の読者が多い印象がありますが、作品作りで意識すべきことはありますか？

これは声を大にして言いたいのですが、一切ありません（笑）！
もちろん、表現のうえで“低年齢の子も読んでいる媒体である”ということ自体は意識しています。でも、実際の読者の年齢はまったく気にしていません。なぜなら、年齢はもちろん、性別や国籍も問わず、ここまで多くの方に愛されてきた雑誌は世界的に見てもそうないと思うんです。ファンタジーものもあれば、本気の恋愛ものもあるし。お金の仕組みをわかりやすく教えるマンガ『お金のコンパス』も始まって、ジャンルに縛りがなく、多様性を感じられるのが「なかよし」の魅力の1つだと思っています。
自分の作品の居場所がない、ジャンルがわからないという方こそ、「なかよし」を選択肢の1つに考えてもらえたらうれしいです。

———投稿者のみなさんへのメッセージ

私たちは、みなさんのエネルギーや熱意を求めています。絵やネームの技術については、後から身につければいいこと。それよりも、「こういう作品が作りたいんだ！」という情熱を持っていることこそが、何よりも大切です。
「なかよし」は、ジャンルもまったく問いません。いままでに見たことのないような新ジャンルの作品も大歓迎なので、ぜひみなさんの個性あふれる作品を見せてください。ご自身の個性とやりたいことを大事に、読者の心に20年も30年も残る、夢のある作品を一緒に作りましょう！

———「Kiss」とはどんな媒体でしょうか？

大人の女性たちが、夢を見られる雑誌だと思っています。 夢といっても甘い夢もあれば、怖い夢もあると思うんですよね。ただ、どんな夢であれ、私たちの日常のすぐ隣にあるかもしれない“もしも”な世界を、想像力で見せている媒体だと思います。
テーマとしては、恋愛はもちろんですが、女性が年齢を重ねていくうえでぶつかる悩みや、葛藤を扱っている作品が多いのが特徴です。「Kiss」は映像化作品がとても多い編集部ですが、それは女性たちの等身大の姿を描いていることも理由の1つではないかなと思います。

———投稿作を読む時、どんなポイントに注目していますか？

私は、その人にしか描けない角度や見せ方で表現されている作品かどうか、ということを中心に見ています。
たとえば投稿作が恋愛をテーマにした作品だったとします。でも、恋愛ってすごく幅が広くて、逆に言えばどんなふうにでも描けてしまうんですよね。だからこそ、漫画家本人が読者に“見せたい”と思っているシーンを、どういう絵や、言葉で表現しているのかがとても大事になります。
漫画家の方は一人ひとり、絵が得意な方もいれば、セリフや構成のほうが得意な方もいると思います。もしも作品をどう描けばいいか迷ったら、自分の強みを見つけるところから始めるといいかもしれません。

———今回は課題原作を原稿化する、作画志望者向けの部門もあります。田岡さんは、小説のコミカライズを手がけた経験もあるそうですが、ポイントはどんなところにありますか？

原作がすでにあるものをコミック化する場合は、文章の行間をどう埋めるのかがとても大切になります。
以前に担当した作品は、冬の京都を舞台にした少し物悲しく、孤独感も感じられる作品だったのですが、完成したマンガを原作者にお見せしたところ、「作品の空気感が、とてもうまく表現されていることが嬉しい」とおっしゃってくれました。
作画を担当したのは新人作家さんだったのですが、直接的に文章には書かれていない作品の手触りや空気を汲み取り、想像力を働かせてマンガとして表現されていたことが印象的でした。

———新人作家さんにとって、大事だと思うものはなんでしょうか？

絵やセリフ、テーマなど、なんでもいいのですが、読んだ人に「これは見たことがない！」と思わせられるような、自分だけのポイントがあることが大事だと思います。 そのためにも、たくさんの物事や文化に触れる機会を持つといいと思います。
たとえばある映画を見て、すごくいいなと思うシーンがあったとして、それを自分ならばどう解釈して、作品として表現するのか。そういう視点を持ちながら、いろんな文化に触れると作品の幅は広がっていきます。マンガに限らず映画、音楽など、感受性を揺さぶられるようなものと出会うことは、必ず自身の作品に生きてくると思います。

———投稿者のみなさんへのメッセージ

自分が好きなことや、心が動いた物事を、物語という形で一人でも多くの方に届けたい、というのが漫画家にとって一番の原動力ではないかと思います。なので、今回の新人賞ではその気持ちを存分に見せてほしいです。効率よく器用に描く方法は、後からいくらでも手に入るし、それこそ私たちと一緒に学んでいけばいいことです。
それよりも、原石の状態でかまわないので、自分の“好き”だという気持ちを作品に詰め込んで、応募してもらえたらと思います！

———「BE・LOVE」とはどんな媒体でしょうか？

扱っているジャンルやテーマは広く、連載作家陣はレジェンドからフレッシュな若手までさまざま。多くの人の心の受け皿になれるような作品が揃った、懐の深い媒体だと思います。女性向けマンガ誌の位置付けですが、主人公が男性でもかまいませんし、恋愛マンガである必要もありません。
読者層はかなり広く、創刊からずっと読んでくださっている80代の方もいれば、『ちはやふる』をきっかけに読んでくれている小学生の読者も。雑誌と読者の信頼関係が深く、一度受け入れられるとずっと応援してもらえるのも特徴で、長期連載作が揃っているのはこの点も理由なんじゃないかなと思います。
また、紙で購入してくださっている方が多いのですが、一方で、講談社と電子書店『まんが王国』との共同プロジェクトとしてスタートし、連続ドラマ化もされた丘上あいさんの『ギルティ～鳴かぬ蛍が身を焦がす～』のように、電子で人気を獲得しながら「BE・LOVE」にも出張掲載するなど、多角的な展開をしている作品も最近は増えています。

———幅広い作品群ですが、共通するものはありますか？

先ほど小学生の読者もいると話しましたが、編集部としては“大人が読む”という目線は常に大事にしています。読者の中心はやはり30〜50代の女性。その世代の方の心にしっかり届く作品かどうか、という点は基準になっていると思います。
また、読者のみなさんが“応援したい”と思える主人公像も大事なポイントの一つです。ダークヒーローやヒロインでもかまわないのですが、「この主人公の成長を見届けたい！」と読者に思ってもらえるようなキャラクターは、「BE・LOVE」らしい作品の大切な要素と言えると思います。

———投稿作を読む時、どんなポイントに注目していますか？

“この作品がどういう狙いで描かれているか”ということです。作家性や、漫画家さん自身の「こういうものを描きたい」という想いはもちろん見るのですが、私がいちばん見たいのは、読者に対してどこを“面白いと思ってもらいたい”と考えているか。そういう、漫画家さんの企みが伝わってくる作品は、魅力的だなと思います。
プロの漫画家として活躍したいと思っているのであれば、自分自身が表現したいことだけじゃなくて、その先に読者がいるという視点を持っていることは、特に重要になってくると思います。

———新人作家さんにとって、大事なことはなんでしょうか？

さまざまな経験をして、いろんな世界や物事を見ることが大切だと思います。 自分の世界で縮こまっていると、表現の幅も狭まってしまうもの。今回の新人賞のテーマである「半径5メートルから描こう。」のようにまずは周りを見渡して、そこからぜひ広い世界に飛び出してほしいです。
それから、フェティシズムがあることも大切です。これは、技術のように学んで身につくものではないので、いま自分のなかにある「これが好き！」「ここに萌える！」という気持ちはぜひ大事にして、作品に活かしてください。

———投稿者のみなさんへのメッセージ

「BE・LOVE」は、ジャンルやテーマに捉われない、バラエティ豊かな作品が揃った雑誌です。サスペンスや重厚なテーマを扱った骨太な作品を描きたいなど、これまでとは方向性の違う作品に挑戦したいという方にもおすすめです。
ぜひ、みなさんの想いのこもった作品を見せていただけたらうれしいです！